研究内容

材料科学と情報科学の融合 → Materials Informatics

従来の材料科学では,実際の材料の諸問題に対して,ナノスケールでの実験計測や理論シミュレーションにより,材料を解析し,理解することが主流でした.
シミュレーションツールの汎用化や計算機の高速化などにより近年,少数のシミュレーション結果に基づいて研究者が自らの経験と勘により新材料を探索・設計していくスタイルから,多数のシミュレーションデータに基づいて目標とする性質を持つ新材料を確率論的に探索していくデータ駆動型へと,新材料を理論的に設計・探索するスタイルが変わりつつあります.我々は現在,実験分野・情報分野との横断的連携により,様々な材料のデータ駆動型材料設計法の確立に取り組んでいます.今後は,開発中の技術を他分野にも展開し,エネルギー・環境問題の解決に貢献できる国際競争力の高い材料の開発を加速させます.

(1) シミュレーションと実験計測の連携

放射光を用いたX線吸収スペクトル(XAS)や電子顕微鏡を用いた電子エネルギー損失スペクトル(EELS)は,ナノ構造の原子配列や電子状態の情報を実験的に取得できる強力な材料解析ツールですが,得られる結果の解釈は非常に困難です.それらのスペクトルを高精度でかつ高効率を計算できる機能を導入し(PRB 2012),さらには分子動力学法と組み合わせた第一原理in-situ XANESシミュレーションの提案(PRB 2017)を行い,Liイオン二次電池用正極材料内部(MSMSE 2012)や正極-電解液界面(PRB 2017)に適用することで,実験と相補的な化学反応の解明を行いました.

(2) シミュレーションと情報科学の連携

2015年度~2019年度に情報統合型物質・材料開発イニシアティブ(MI2I)に参画し,大量のシミュレーションデータに基づいたデータ駆動型材料設計法の確立にも取り組みました.主に,材料機能への影響が大きい結晶粒界について,(i) 計算コストを考慮した回帰予測モデルの構築(MSMSE 2017), (ii) 転移学習を導入したベイズ最適化による効率的安定構造探索(PRM 2017), (iii) 能動学習を導入したランダム粒界の高精度解析 (arXiv 2019)を提案しました.

(副テーマ) スノーボードのバイオメカニクス

後期の集中講義「健康運動科学B」ではスノーボードを教えています.ゴリゴリのカービングを目指して勉強中and練習中です.